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【トップチーム情報】レポート「田上渉 JFLの扉を開く 」

2011.10.28

第47回全国社会人選手権大会レポート  課題多き、敗戦

 

 10月14日から5日間に渡り行われた全国社会人サッカー選手権。  九州リーグ代表として出場したHOYOは2回戦で敗退。  JFL昇格をかけた全国地域リーグ決勝大会(地域決勝)の前哨戦ともいえる大会で、厳しい現実を突きつけられた。  チーム最年長であり、JFLへの昇格請負人として今季から加入した田上渉に、大会を振り返るとともに、地域決勝の展望を聞いた。

 ●及第点以下の初戦勝利

「この大会の位置づけが定まらず、緊張感のないまま大会が終わってしまった」  田上がそう振り返ったように、あっけなく大会を終えてしまった。  1回戦の対戦相手はTOJITSU滋賀FC。トーナメント初戦の立ち上がりは、「ぼやっとしていた」と言うように気持ちが入らず、ほとんどの選手がプレーの選択の判断が悪い上に、プレーの精度も欠けていた。3分には早々と先制点を許し、その後もギクシャクした状況は建て直せずにいた。32分に、攻撃的MFのポジションに配置された堀健人がドリブルからチャンスをつくり、長正之が同点ゴールを決めたが、じれったい展開は続く。前半終了間際にはPKを与え再度リードを奪われかけたが、野寺和音の必死のセービングで得点を与えなかった。  この試合は結局、後半に原一生、堀のゴールで3−1で勝利したものの、あくまでも合格点に届かない及第点であり、これまで出場機会に恵まれなかった堀内省吾、糟谷浩志、堤友樹が無難にプレーできたことが唯一の収穫だった。

●劣勢が続き、なす術なく完敗

 2回戦のY.S.C.C.は昨年の地域決勝で敗れたチーム。リベンジを果たし、勢いをつけるためには好敵手だった。前日の試合に比べ選手のモチベーションは高く、「先に失点しないように気をつけよう」と声をかけ合った。しかし、この試合も序盤から相手に押し込まれる時間が続き、主導権を握れないでいた。不穏な空気が流れるなか、中嶋雄大がひとり気をはいた。11分、カウンターからドリブルで駆け上がり、ペナルティエリア内で倒されPKを得ると、自らがキッカーとなり先制点を奪う。しかし、そこから先が続かなかった。両SBが極端に高い位置に張り出す相手に対し、中盤の枚数で劣勢を強いられると、ボール支配で完全に劣勢になり38分、48分に加点された。61分に中嶋がインターセプトからフィニッシュまで個の力で決め意地を見せたが、80分にまたも失点し、4−2で試合を終えた。

●チーム一丸となりJFLの扉を開く

 たった2日で大会を去ることを余儀なくされたチームは、不完全燃焼で地域決勝の前哨戦を終えた。この大会を振り返ってみると、組織的な守備が機能せず、臨機応変の足りなさが目立った。いつもポーカーフェイスの田上が自戒を込めて、珍しく口調を強め語った。 「僕自身、パフォーマンスが低く、チームをどうこうできる状態ではなかった。2試合ともリードを許したにも関わらず状況を変える手段がなく、同じようなサッカーをしてしまった。九州リーグでは主導権を握れたが、相手が互角、それ以上のとき、押し込まれたときの対応が課題。負けて良かったとは思わないが、自分らの実力はこんなもんだったと分かったのが収穫」  11月18日には今季の総決算となるJFL昇格をかけ地域決勝がはじまる。「勝つサッカーをしなければいけない。内容なんてどうでもいい。勝てばいい」と田上は話したが、結果がすべての大会を勝ち抜くには、今のままではまるで物足りない。加えてメンタル面にも不安要素はある。  ただ、技術面に優れた選手が揃っているだけに、チームとしての戦い方が明確になれば大きな力になるのはもちろんだが、チームをワンランク上に上げるためには、JFLに昇格したことのある田上や中嶋、古賀宗樹らの経験を上手く取り組みたい。また、この大会では本調子にほど遠かった堀、出番が訪れなかった生口明宏、田中淳也といった主力が融合し、チームの気持ちがひとつになれば、念願のJFLは近づくはずだ。  これまで3度、地域決勝の舞台に立った田上は前を見据えて言った。 「残り3週間弱。普段の練習からチームをまとめたい。修正できる範囲だし、必ず建て直し、昇格する」  アマチュアNo.1を目指すクラブの今季最大の挑戦が、いよいよ始まる。

 

 

(レポート:柚野 真也)