流れをつかむも、初勝利ならず。(文・嶋山哲史氏)
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2試合引き分けが続くHOYO大分だが、どちらの試合も失点は0。若干の手応えを感じ始めていた。そんななか、Y.S.C.C.をホームに迎え、JFL初勝利に挑んだ。 今季初めて中嶋雄大が先発出場したこの試合は、序盤からターゲットの中嶋にボールが収まり攻撃がスムーズであった。両チームとも序盤から主導権を握ろうと、短い時間のなかで激しいせめぎ合いを見せていた。6分にCKからのこぼれ球を拾われてピンチを迎えるも、2試合連続無失点に抑えているディフェンス陣がしっかりと対応。その後も体を投げ出してのディフェンスも多く見られ、『なんとしても勝利を』そんな思いがプレーから伝わってきていた。 |
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試合が動いたのは、前半24分。自陣で原一生がボールを奪われると、Y.S.C.C.の辻正男がエリア内に持ち込みシュート。先制点を許した。その後、少しリズムを失い、ミスからピンチを迎える場面も多かったが、防戦一方というわけでも無かった。「監督から前に絡めと言われていたし、 雄大(中嶋)さんが前で頑張ってくれていたし、雄大さんとのコンビネーションには、自信があったので」と、語った安藤が再三攻撃に参加し、チャンスを演出していた。 |
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後半8分。ロングボールに抜け出した中嶋が相手選手に倒され、FKを得る。キッカーは原。密集するゴール前に蹴り込まれたボールを、瀬里が頭で合わせた。一瞬の沈黙は歓喜に変わる。ホーム戦初得点の瞬間が訪れた。この同点弾を皮切りに、流れをグッと引き寄せたHOYO大分だったが、徐々に疲労の色が濃くなり、後半35分までに全ての交代カードを切った。チャンスは作れているが、勝ち越し点をどうしても決めきれない。刻一刻と時間は過ぎていく。後半44分。Y.S.C.C.が一気に2人を交代。するとその2分後、交代で入った井上和馬が起点となり、またしても辻に決められてしまう。そこから反撃したが時間は残っていなかった。 まさに惜敗。そんな試合だった。しかし、負けはしたものの最後までどちらが勝つのかわからない好ゲームだった。 |
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試合後に「波に乗れているところもあったので、プレーしていた選手も(勝利を)感じていたところもあったと思う」と原が語ったように、5戦目にして勝利への糸口が見えてきたのかもしれない。 (文・嶋山哲史) |
●結城治男監督 選手は、それぞれチャレンジをしてくれているとは思うが、まだまだ自分の意志でプレーが出来ていない。練習では出来ているが、試合になると声が出なかったり、相手の影に隠れてしまったりしている。そうなるとパスコースも減り、相手に読まれやすくなってしまう。強いメンタルを持って試合にのぞんで欲しい。自信をもってやればチャンスも出来る。 1点取れたところは評価出来る。チャレンジも出来ていたし、相手にもしっかりと対応し、チャンスメイクも出来ていた。 山瀬、福光、福島などの若い選手、安藤も足をつりながら頑張ってくれた。ああいう気持ちがチームを強くする。雄大(中嶋)も前線で頑張ってくれたし、それぞれの良さがうまく融合できれば、機能できればいいなと思っている。 全体の底上げをしていかないと勝つことは難しい。そんな甘いものでは無い。修正し、トレーニングして、チャレンジしていきたいと思う。 |
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●安藤寛明選手 自分はこれまで(Y.S.C.C.と)2回対戦していて、苦手意識のある相手だったんですが、意外に対応でき、前からプレスをかければ結構ボールも取れると感じました。 前半は、自分たちのミスもありましたけど、思い通りには運べたかなという感じでした。(2失点目を振り返り)やっぱりああいうところを決めてくるチームは力があると思うし、そこがJFLなんだなと思いました。 Q:攻撃参加からチャンスを演出していましたが? 監督から高い位置をとって前に絡めと言われていたし、自分の前にスペースがあったので。(ディフェンス時に)引いちゃう癖があるので、今日はリスクを負うじゃないですが、高めのポジションをとって強気にいこうと思っていました。流れ的には悪くなかったですが、2点目をとることが課題です。次節勝ち点3を取りにいきます。 |
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●瀬里康和選手 前よりどんどん良くなってきているという印象です。今日は雄大(中嶋)さんも入って起点になってくれたので、その後ろにいる僕や山瀬が簡単に、楽に前を向いて(ボールを)受けられました。しっかりとチャレンジしながら、ミスをしないようにと考えてプレーしていました。 (初得点について)チームの歴史に名を残せたかなという思いはあり、そのへんは、自分を褒めたいと思いますが、チームが勝っていないので。僕も体的にきつくなったから交代させられたんだろうし、90分戦い抜く力をつけなければと思う。チームのレベルは上がってきている。明日から一週間準備して次節にのぞみたいと思います。 |
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